オリエ
ハンドメイド作家になりたいと悩んでいる方へのアドバイスをもらってきました!
「ハンドメイドブーム」と言われて久しくなりました。
国内最大級のハンドメイドマーケットminne(ミンネ)が立ち上がったのが2012年。それから6年。
全体的な作品のクオリティーも、「ハンドメイド」と言うとそれまでは「主婦の手作り」のようなイメージでしたが、「クリエイターの作品」と呼べるまで格上げされたように思います。
クオリティーが上がった上にオリジナリティーがあり、ニッチでマニアックなものが売られているので、私も、友人へのプレゼントや自分の欲しいものを探すときには、既製品だけでなくハンドメイド作品も選択肢に入れるようになりました。
ひとときのブームで終わらず大きな市場に成長した「ハンドメイド」
- 私もハンドメイド作家になれるかしら?
- 趣味で作っているコレ、売れるかしら?
そんな皆さんの疑問に答えるべく、3人のクリエイターにインタビューしてみました。
3人のクリエイター紹介
AZbonheur 東陽子さん
東陽子さん
レザーバッグや小物、アクセサリーを大手百貨店のポップアップショップにて販売。
Caramel de Lapin(キャラメル・ド・ラパン) ひよこさん
ひよこさん
樹脂粘土やレジンを使ったフェイクスイーツやアクセサリー、雑貨を制作。
ハンドメイドイベントやSNSを活用して販売している。
CHERIE(シェリー) しぇりぃさん
しぇりぃさん
数々の作品遍歴を経て、現在はブライスドールのアイチップをレジンで制作、自ブランドのECサイトのみで販売している。
とにかく面白そう!と思って作ったものが次々と売れて行く、ハンドメイド作家を目指す方たちにはまるで理想のようなしぇりぃさん。
どのジャンルの作品も夢が溢れるデザインと細部までのこだわりが見えるクオリティが素晴らしい作家さんです。
Q:ハンドメイド作品の販売を始めたきっかけは?
ひよこさん
当初は、憧れの先生と一緒に活動できることや、習っていたことを発表する場所ができたこと、自分の作品を知らない人に見てもらえることがただ嬉しいばかりで、まさか自分の作品が売れるとは思ってもいなかったそうです。
ところが、8年前の当時はまだスイーツデコ雑貨も珍しかった頃で、先生のネームバリューもあり驚くほど売れました。
「Kawaii(カワイイ)」ファッションアイテムとして若者の間ではすでに人気があったスイーツデコですが、大手百貨店などに出店したことで、今まで反応のなかった大人たちからも問い合わせがくるようになり、それが自身に繋がったそうです。
しぇりぃさん
特に樹脂粘土で作るフェイクスイーツのアクセサリーは、姪っ子さんにプレゼントしたところ周りの方達からも欲しいと言われて大量に作り出し、作品がテレビ番組や広告で取り上げられ、年に10回のイベントに参加し、大阪から出て名古屋、東京のイベントまで出店する勢いに。なんとこの頃は一つのイベントで300点売れる事もあったそうです。
基本的には儲けよりも、作る楽しみや完成した達成感などが大事だと言いながらも、収入として数字で結果も出しているところは、ハンドメイド作家を目指す人たちにとっては理想ですよね。
東陽子さん
それから5年、副業だったAZbonheurをメインにしていこうと決意。
これまで自ブランドのECサイトの他に、グループ展やハンドメイドイベントを中心に販売をしてきましたが、今後は東急プラザ銀座、阪急うめだ本店、松坂屋など、百貨店のポップアップショップ(期間限定ショップ)に販売場所を移し活動していくそうです。
さらに、AZbonheurを通じて社会貢献への連鎖を広げていく活動を進めるため、一般社団法人rennsaという団体を今年5月に立ち上げました。獣害駆除で廃棄される中標津のエゾシカの革を使用したアクセサリーを作ったり、石巻のNPO法人を通じて商品の製作を依頼し、石巻のお母さんの家仕事を支援したりしています。
会社勤めをしながら見ていた夢を着実に叶えています。
Q:屋号はどうやって決めたの?
まず作家として活動を始めようとする時に真っ先に悩むのが「屋号」。
ひよこさん
しぇりぃさん
ちなみに私が教えていたフェイクスイーツのスクールも一緒に経営していたパートナーが飼っているチワワの名前でした。
Q:どうやって宣伝している?
Facebook、Instagram、Twitter、ブログなどのSNSを使えばお金をかけずに簡単に宣伝ができます!
みなさん上記のいずれも利用されていらっしゃるようですが、写真の加工から他のSNSへのシェアまで簡単にできるInstagramをメインとして使っている方が多いようです。
しぇりぃさんのインスタ
#(ハッシュタグ)をうまく活用すれば世界中から勝手に探して見つけてくれるのも特徴です。
販売に直接繋がらなくても、自分の作品をみてもらったり、時にはコメントをもらったりするのは、それだけでも励みになります。
Q:販売する場所はどうしたらいい?
自ブランドのECサイトを持たなくても、Creema(クリーマ)やminne(ミンネ)のようなハンドメイド作品を販売するサイトのアプリを利用してスマートフォンで簡単に売買ができるようになりました。
FaceBookやInstagramなどのSNSで紹介した商品に注文が入ることもあります。
このようにネットでの販売方法も間口が広がっていますが、やはり売上げのメインとなるのはイベントです。
毎年ビッグサイトで開催される「日本ホビーショー」や「デザインフェスタ」のような大きなイベントの他に、全国各地で大小様々なハンドメイド作品が集まるイベントがいくつも催されています。
しかしやはり大きなイベントの方が売上げは大きいそうです。
イベントでの販売は、買い手側にはこのような利点があります。
- 実際に作家に会えたり、商品を手にとって見たりできる
- 送料がかからない
- 新作はネットショップにあげる前にイベントに出されるので新鮮な作品が一番早く見られる
そして売り手側としても、写真を撮ってネットショップにアップして、受注を確認したら梱包して発送する、その手間を思うとイベントで売る方が断然楽なんです。
そして何と言ってもイベントに出店すると作家仲間との繋がりができます。
作家仲間ができると、小さなイベントに声をかけてもらったりする機会が増えるので、さらに販売する機会が増えます。
一度申し込むと大きなイベントは年間スケジュールがメールで届くようになります。
CreemaとMinneにショップを開設しておくとイベントの優先申し込みができますよ。
Creemaはあまりハンドメイドっぽくない商品の方が人気があり、Minneはファンシーな雰囲気の商品の方が人気がある傾向がみられるそうですよ。
Q:値段はどう決めてる?実際どんな作家さんが儲かってる?
私のフェイクスイーツ教室の受講生が、いざ作家として活動を始める一歩を踏み出すときに一番頭を悩ませるのが「自分の作品に値段をつける」という事でした。
「私の作品はいくらだったら売れるんだろう?
高くつけすぎて売れなかったら…自己評価だけが高いみたいで恥ずかしいし。」
「私“なんか”の作品、とりあえず友達がお愛想で買ってくれそうな値段にしておこうかな。」
そうやって、どんどん安くしてしまう傾向がみられます。
まずは冷静に、材料費、制作コスト、販売時の経費、利益(自分の給料やデザイン料も含める)を積み上げて計算しましょう。
東陽子さん
原価を安く、制作時間を短く、でもデザインやアイディアで付加価値をつけて売れる作品を作っている、決して安い値段設定をしていない、自分の制作時間と販売にかかる時間も販売価格に乗せられている人が儲かっていると思います。
しぇりぃさん
お金を払って買っていただいている以上、中途半端な事は出来ません。
素人だから、趣味だからといって逃げないように出品するときはいつも自分に厳しくしています。
作品の値段を下げるのではなく、自分がつけた値段で売れるようにクオリティを上げるのが大事です!
Q:辛いことは何?それでも続けていくコツは?
まずは金銭面の保障がないこと。
作ったものが必ず売れるという保障はありません。
出店料すら稼げず赤字になってしまうときすらあります。
だから生活の保障がある人以外は、必ず収入源を一つにしないこと。
次に体力面での問題。
平日は会社勤めをして、夜に制作をして、土日はイベントに出店して…と、全く休めない日々が続くこともあります。
生活が乱れ体力が落ちると制作にも影響が出て素敵な作品が作れなくなり、売れないという悪いサイクルに入ってしまうことも。
しかし逆に「あぁ、もう休もう」と思えばいくらでも休めてしまうので要注意。
そのまま消えていく作家さんもたくさんいます。
イベント直前でたくさん作らなくてはいけないのに、作品のアイデアが出なくて苦しいこともあります。
「こんなの自分でもできそう」「え〜、高いねぇ!」「あっちでも同じようなの売ってた」など、がっかりする声が直接聞こえてしまうこともあります。
それでもへこたれない図太さが必要です。
Q:ハンドメイド作家をやっていて良かった事、嬉しかった事は?
東陽子さん
リピーターのお客様が以前購入した商品を持っていらしてくださるのがすごく嬉しいです。
しぇりぃさん
時間を好きなように使えるのも定年がないのも良いですね。
ひよこさん
イベントなどでは特に、直接お客様の反応が見られるので、私の作品が好きだと言ってもらえたり、カワイイ!と声を上げてくれる姿を見るときは頑張った甲斐があったなと思います。
そして、苦しい時にも力になってくれる本当の友達の支えのありがたさをを感じられたことも良かったと思います。
作家同士、そしてお客さんと繋がり輪が広がる、それが何よりの喜びですね。
ひよこさんはまた、こんな事もおっしゃっていました。
ひよこさん
私の作品をカワイイと言ってくれた人がコレクターさんになってくれること。
そして「次の新作を待ってます」と言ってくれたり、毎回SNSを見てくれる人がいること。
そんな風に私の存在を気にしてくれている人がいることで『自分が生きている意味の確認』ができている感じがします。
それこそが、クリエイターであることの意義のような気がしますね。
これからハンドメイド作家を目指す方達へ3人からのアドバイス
東陽子さん
・続けていくコツはやっぱり損を出さないこと
ひよこさん
・助けてくれる人、応援してくれる人への感謝の気持ちを伝える手間を惜しまない
・あえて苦言を言ってくれる人の意見も聞く
・まずやってみる、やらない(やれない)理由を探すより先にとにかく始めてみる
しぇりぃさん
誰しも一度ならず「好きなことをして生きられたら」と考えたことがあると思います。
「好きなことをして生きる」ために一歩を踏み出し歩み続けている、今回インタビューに答えてくれた現役クリエイター3人は、人との繋がりを大事にするタフな人たちでした。
さぁ、皆さんはその一歩を踏み出しますか?