カラオケが苦手な人へ!音痴を克服する方法をプロに聞いてきました

マイク680×383

オリエ

カラオケ文化の根付く日本。歌うことに自信がない人にとっては年末年始や春の歓送迎会など飲む機会が増えるシーズンは気が重いですよね。

せめてもう少し上手に歌えたら、もうちょっとカラオケも楽しめるんだけどなぁ〜と思っている人へのアドバイスをプロのボイストレーナーに聞いてきました!

吉田英樹2

Soul-Jam!Music Factory主催、吉田英樹
ソウル/R&Bシンガー歴35年、ボイス&ボーカルトレーナー歴17年、ゴスペル講師歴14年。
自身もシンガーとして活動する傍ら、その経験から編み出された独自のメソッドで、東京、川崎、横浜を中心に数多くのシンガーやゴスペルクワイヤーに歌唱指導をしている。
聴く者を虜にするそのソウルフルな歌声に憧れ、師事するものが絶たないボイストレーナー。

音痴は治るって本当?

自分を音痴だと思っている、また音痴と言われている人でも、発声を改善することで確実に克服できると思います。

吉田先生

…そう言われても、思ったように歌えないと悩んでいる人には簡単に信じられないですよね。

発声トレーニングを受けると、音域が広がったり声量が増えたりするだけでなく、音と音の間の細かい音まで出せるようになります。

そうすると、今まで聴いた通りに歌おうと思っても、出せない音が多くて音程がずれてしまっていた歌も、出せる音が増えると聴いた通りに再現しやすくなるのです。

例えば、黒鍵のない小さなおもちゃの木琴では演奏できる曲に限界がある…と言うより、できない曲の方が多いですよね。
おもちゃの木琴

では、オーケストラにも使われる大きなマリンバはどうでしょう。

マリンバでならどんな曲だって演奏できる気になりませんか?
マリンバ

発声トレーニングは、小さなおもちゃの木琴を大きなマリンバにしてくれるのです。

発声がよくなると自然と音程も狂わなくなるイメージ、つかめましたか?

心因的な理由で人前で歌うのが苦手な人への克服法

人前だと緊張してしまう…そんな心因的な理由で上手に歌えない人、多いですよね。

オリエ

ゴスペルを始める前は、人前で歌うのはおろかスピーチするのも絶対イヤ!!と拒絶していた程なので、

心因的な理由で上手に歌えないということには私もずいぶん悩んできました。

人前で歌うってこと自体かなり勇気がいる事です。
鼻歌では楽しく意外にうまく歌えているのに、人前だと全然歌えない…
自信のない曲を歌ったり、日常でない環境で歌う時も緊張しますよね?

緊張すると呼吸が乱れる。呼吸が浅くなることも要因です。
それは何故か?
お腹がうまく使えなくなるから不安定になってしまうのです。

自信を持つということが大きな解消法になると思います。

本当の自信は経験無しには得られません。ただそんな経験は簡単に得られるわけはありませんね。

吉田先生

オリエ

はい。それで、私の場合は、まず自分の歌声を録音して聴くのを何度何度も繰り返してみました。

自分の歌声に慣れてみる、己のレベルを知るというのも、人前で歌うのが嫌だという気持ちを克服するのに役に立ったと思います。

最初は録音を聴くたびに自分の歌声の嫌なところばかりが気になって凹んでいたのですが、練習を重ねるうちに、上手になってきていることにも気がつくようになって来ました。

そう、自分を知る、客観的に見るという意味で「自分の声を録音して聴く」という作業は非常に有意義であると思います。

まずは自分の声を客観的に聴いていいところ、よくない事をチェックすることで、自分が先生になれる。

自分が今どこまで出来るのかの確認になり、少なくとも自分の中での自信を持つきっかけになると思います。

吉田先生

オリエ

マイクに慣れておくのも良いと思います。

一人でカラオケに行って、マイクを通して歌っている自分の声を録音してみたり、エコーの強弱やマイクの音量、音楽の音量など、自分の歌いやすいバランスを知っておくというのも、有効ですよね。

ひとりカラオケのススメ

ひとりカラオケ…初めて一人でカラオケに行くまでは、受付する時やドリンクを運んできてくれた時に気まずい思いをするのではないかとドキドキしていました。

でも実際は全く気まずく感じることなんてなかったので、ちょっと勇気を出して行ってみるのをお勧めします!

早い時間のカラオケには一人で来ているお客さんも多いので、変に目立つこともないですよ。

  1. 昼間に行く
  2. ドリンクバーを頼む
  3. ひとりカラオケ用に行きつけのカラオケを作る

この3つさえ押さえておけば臆することはありません!

歌う前にまずはよく聴こう

まずどんな曲を歌うにも音を聴いてそれをコピーすることが必要になります。

それはメロディーもそうですが、ニュアンスをコピーできることも非常に重要です。

吉田先生

オリエ

確かに、一般的に「音痴だと思われる人はモノマネも下手な傾向がある」と言われているみたいですね。

曲を聴くときの観察力と集中力が足りていない場合が多い…といった話を読んだことがあります。

原曲をかけながら合わせて歌う時に、明らかに原曲とは違うラインを歌っちゃう人がいます。
音痴という以前に間違ってメロを覚えてしまう。これはもう論外ですね。

歌もアンサンブルです。

歌う時にはカラオケ、バンド、ピアノやギターなど、必ず伴奏があります。我々はその基本になる音を聴いて歌います伴奏に合わせて歌っているのです。

アカペラやゴスペルのコーラスなどは他のパートの音に対して反応しながら歌っていきます。
特にアカペラの場合は他の人の声を聴きながら自分の居場所を確認しながらでないとまともなハーモニーは得られません。

吉田先生

オリエ

歌うのが上手な人は聴くのも上手ってことですね!

私も人前で歌うためのレッスンを受けるようになってから曲の聴き方が変わりました。

「今日はAメロだけ覚えよう」とか「今日は1番のサビの前まで歌えるようにしよう」といった感じで、細かく区切って何度も何度も聴くようになったのです。

確かにレッスンをとるようになる前は、歌を丸々一曲通して聴いていました。

何度も何度も聴いているはずなのに、いざカラオケで歌ってみると思いの外曖昧に覚えていて焦ってしまうことがよくありました。

集中して聴くときはスピーカーよりイヤホンがおすすめです!

イヤホンだと細かい音まで聞こえるので「あぁ、ここはこんな音をとっているんだ!」と気づくことが多いですよ。

息は吸うことよりも吐き切ることが大事

呼吸というとつい息を吸うこと、と思っていませんか?

息を吐き切らずに吸おうとすれば過呼吸の状態に陥ります。

息が吸えなくなってしまいます。それではまともに歌うことができるわけありませんね。

吉田先生

オリエ

出ました!!吉田メソッドではこの「息を吐き切る」というのがまず第一の特徴ですよね!

息を吐き切れば自然と息が入ってくる。

息を吐き切らずに吸ってしまうと、胸にいっぱい溜まった息を使いきれなくて苦しかったし、発声も安定しませんでした。

録音した自分の歌声を聞いても、苦しそうで…。

でも、ブレスのときに「息を吸う」のではなく「息を吐く」ことを意識してすると途端に楽になるし、自分の歌声の苦しそうな感じもなくなって驚きました。

勘違いして欲しくないのは、息を吐き切るというのは声を出すのに息をたくさん使うということではありません。

ブレスの時に残った息を吐き切るということです。

プロのシンガーのブレスは超高速です。
これは吸うのが速いのではなく吐くのが速いから実現できるのです。

吉田先生

歌う前に曲を聴く時に、原曲ではどこでブレスをしているか確認するのも大事ですね。

例えば、JOYSOUND調べによる「歌いやすいカラオケソング特集」で女性にオススメされている、AIの「みんながみんな英雄」を歌うとき、

みんながみんな英雄歌詞

ブレスのマーク「V」の手前にある丸で囲まれている音で残っている息を吐き切ると、ブレスのタイミングで自然と息が入ってきます。

お腹いっぱい息を吸うのではなく、この自然と入ってくる量の息で歌うと苦しくなりません。

共鳴させる空間を上手に使えるようにする

さて、ここから少し難しい話になります。
ですが、知識として知っておいて、歌うときに少しでも意識できるときっと歌声が変わってくると思うので、さらっと読んでみてくださいね。

プロのシンガーの歌声を聴いて、どうしてあんなにすごい声が出るのだろう?あの綺麗な高音は、あの深い響きは、どうやって作り出しているのだろう??と思ったことはありませんか?

「発声する」という事は「声帯を振動させて出した声を共鳴させる」という事。

声帯は、男性で約2cm、女性で1.5cm程度の小さな器官です。

そのサイズからも原音がとても小さな音である事は容易に想像できますね。

要は共鳴、つまり響かせて大きな音になっている

では、どこに響かせるのか?…それを知るべきだと思います。

吉田先生

共鳴啌

まず第一に声帯の一番近くにある【咽頭共鳴腔】、俗に「喉を開ける」と表現される場所です。

この「喉を開ける」と言うのはよく使う言葉ですが、一体何処?と誰もが思っているところ(笑)

わかりやすいのはうがいをしている時。

うがいをしてる時に喉が開いていないと噎せてしまいます。

したがって、うがいをしている時に噎せないと言う事は喉が開けられていると考えていいと思います。

声を出しながらうがいしてみれば、その「喉を開ける」感覚が掴めるかな?

吉田先生

オリエ

こうして図で見てみると、しゃべるときに響かせている場所よりもずっと奥で響かせていることがわかりますね。
あとは【口腔】【鼻腔】です。どちらも空間がある場所です。

この空間にスペースが取れれば必ずや声は艶やかに豊かな響きをもたらし声量が増します。

吉田先生

オリエ

レッスンでも、【鼻腔】にうまく共鳴できているか確認するために、小鼻の脇に指先を添えて、発声している時にそこが振動しているか確かめますよね。

でも、最初は【鼻腔】に響かせていると、なんだか極端に鼻にかけた声を出しているみたいで、これで合っているのか不安でした(笑)

大丈夫、“変な声”で合っています。

例えるならカラスの鳴き声ですね。

カラスの鳴きまねをすると、鼻腔に響かせる感覚がわかります。

吉田先生

音程の「高低」を「上下」ではなく「左右」でとる

音程は言葉上「高い」「低い」で表現するので、意識もつい「高い音」=上、「低い音」=下で感じてしまいます。

高い音を「上」と捉えて発声すると息が強くなり、声も低い音域より大きくなって非常にバランスが悪くなります

高さのピークを迎えると声は最大になり、さらにそれを超えると声がひっくり返る。これで悩んでる方も多いと思います。

吉田先生

とはいえ通常、高い音は「上」、低い音は「下」という意識が当たり前になっていて、「音程の高低を上下で取らない」…と言われてもピンとこないですよね。

吉田先生がゴスペルディレクター長谷川繁氏(GGB GospelSound)と一緒に配信している【GOICE-Channel】という歌のワンポイントレッスン動画にわかりやすく説明されているものがあったので、こちらをご覧ください。

オリエ

本当に不思議なのですが、この動画を見て、鼻腔に響かせる感覚をキープしながら、高低を「上下」ではなく鼻の位置で「左右」でとってみたら、正確に、しかも楽に高い音が出せてびっくりしました。

「お腹を使う」ということは「お腹に力を入れる」ということことではない

音程が不安定になる原因には息の強さも関係していて、息のコントロールが必要になってきます。
つまりお腹の使い方ですね。

歌う上でお腹を使うと言う事は決してお腹に力を入れることではありません。

高い音の時も中音域と変わらない意識で発声出来れば、音程を上下で取らなくてもコントロール出来るようになります。

吉田先生

オリエ

確かに私も先生に指摘されるまで「お腹を使う」=「お腹に力を入れる」=「お腹を引っ込める(絞る)」と勘違いして数年歌っていました(笑)

お腹の感じを表現する時に先生が袋のようなやわらかい物ではなく、ボトル土管など硬い物で表現するのは、要するにお腹の中の空間をホールドする筋肉の使い方をするように、ということだったのだと最近気がつきました。それができると声が震えなくなるんですよね。

ようやくずっと悩んでいた声の震えを抑える方法がわかってきたように思います。

言葉で表現するように簡単には行かないかも知れませんが、まずは今までの習慣を変えていくこと、意識していくことで楽に安定した発声、歌唱が得られると思います。

吉田先生

ひとりで悩まず、プロによるボイストレーニングを受けてみるのもあり

さぁ、だんだん話が難しくなってきましたね。

ここまで読んでくださった皆さんは、薄々感づいてらっしゃると思います。
…そうです。簡単に一晩で上手になる裏技などは、残念ながらないようです。

ですが、吉田先生のおっしゃるように、「歌う」とはどういうことなのか、まずは意識を変えてみるだけでもぐっと上手になるということがわかりましたね。

しかし、意識を変える方向を間違ってしまうと逆に遠回りになってしまうので、ひとりで悩まず、ボイストレーニングを受けるのが、やはり近道になると思います。

「ボイストレーニング」というと、声の仕事をしている人やプロのシンガーを目指している人が受けるもだと思っていませんか?

私も自分がレッスンを受けるようになるまでは「いやいや、私なんかが…」って思っていました(笑)

ですが「カラオケでちょっと上手に歌えるようになりたい」という思いにも、プロのボイストレーナーはきちんと応えてくれますよ。

ボイストレーナーの数だけ、それぞれ独自のメソッドがあります。
自分に合ったボイストレーナーを探してみるのも良いですね。

ちなみに、今回お話を伺った吉田先生もボイストレーニングの体験レッスンをされていますよ。

今年は「歌を克服する!」を目標にしてみてはいかがでしょうか?