子供の頃からスギ花粉症に悩んでいた私が舌下免疫療法を試してみた体験談。費用や1年目の効果は?

舌下免疫療法

ハナコ

春先になると、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が止まらない花粉症は、なった人にしか分からない辛さがありますよね。

私は先日、スギ花粉症を根治できるといわれる舌下免疫療法を始めてみました。

舌下免疫療法とは、ここ数年で登場したアレルギー性鼻炎やスギ花粉症の治療の一種で、辛い症状を一時的に抑えるのではなく根本から治すための治療法です。

今回は、子どもの頃からスギ花粉症に悩んでいた私が、実際に治療を始めてみた体験談をご紹介します。

舌下免疫療法を始めたきっかけ

舌下免疫療法を始めたきっかけ

ハナコ

私は物心ついたときからのスギ花粉症。

はっきりとは覚えていませんが、花粉症歴はゆうに20年以上は続いているでしょうか。

毎年1月中旬ごろから鼻がムズムズし始め、2月と3月は、

  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 目のかゆみ
などの症状が続き、マスクが手放せませんでした。

そうなると、外出もおっくうになります。

市販のアレルギー薬や点鼻薬、目薬もいろいろと試してみましたが、今ひとつ効果は実感できませんでした。

しかも抗アレルギー薬を飲んだところで、しばらくすると再び症状が出てしまうのでイタチごっこのような気がして、ここ数年は薬を飲むことさえ諦めていました。

病院で舌下免疫療法のポスターを発見!

「年が明けたら、また憂鬱な季節がやってくる…」

そんな思いで過ごしていた2018年の11月後半、子供のかかりつけのクリニックで舌下免疫療法のポスターを見かけたのです。

舌下のポスター

ポスターには治療を開始できる期間は毎年5月から12月までとあり、私が見たのは11月だったので「今ならギリギリ間に合う!」と思って、前向きに検討してみることにしました。

家で舌下免疫療法について調べてみた

治療を始める前に、インターネットで舌下免疫療法について調べてみました。

スギ花粉症の舌下免疫療法とは「くしゃみや鼻水を引き起こす原因となるスギ花粉エキスを毎日舌の下から少量ずつ摂取することで、次第にスギ花粉に反応しない身体に変えていく」というものです。

正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり長期にわたり症状をおさえる効果が期待できるそうです。

数年前に保険適応になったことで、広く知られるようになり、治療ができる病院も増えてきました。

ハナコ

アレルギーの元になる物質をわざと体内に入れるなんて、ちょっと不思議ですね。

基礎知識を調べた後、舌下免疫療法を本当に受け始めるべきかどうか?メリットとデメリットについても考えてみました。

舌下免疫療法のメリット・デメリット

私が感じた舌下免疫療法のメリット3つ

(1)薬を毎日飲むだけで花粉症が治る可能性がある

毎日、自宅で決まった量の薬を飲むだけで、辛いくしゃみや目のかゆみから解放されるのなら、ぜひ試してみる価値はあるなと思いました。

(2)健康保険が適用になる

費用の目安は毎月2500円~3000円とのこと。

このくらいの値段なら、負担が少なく続けられそうだと感じました。

(3)頻繁に病院に通わなくていい(月1)

最初の1ヶ月だけ複数回通院する必要がありますが、2ヶ月目からは月に1回(4週間ごと)通院して、薬を処方してもらうだけです。

私の場合、自宅近くの病院だったため、このくらいの頻度で通院することは問題ありませんでした。

一方で、こんなデメリットも・・・

最低2年以上の継続が必要

効果が出るまでに最低2年以上かかると言われています。

医師の推奨では3年~5年です。

それだけの期間、毎日薬を飲み続けるにはかなりの根気が必要です。

全ての人に効果があるとは限らない

画期的に思える舌下免疫療法ですが、全ての人に効果があるわけではなく、約20%の人には全く効果がないというデータがあります。

重篤な副作用の可能性はゼロではない

重篤な副作用のリスクは極めて低いと言われていますが、ごく稀にアナフィラキシーなどの命にかかわる副作用が起きる可能性があります。

治療できる病院が限られている

現在、舌下免疫療法が可能な病院は限られています。

自宅や職場近くに病院がない場合は、長期にわたる通院が負担になるかもしれません。

治療開始時期が限られている

この治療は毎年、スギ花粉が飛散する季節(1月から5月頃)には開始できません。

いざ辛い症状が出てから治療したいと思っても、花粉が飛び終わる時期まで待たなければなりません。

ハナコ

メリット、デメリットをよく調べた上で、それでも「花粉症が少しでも改善するなら」という気持ちで治療を決心しました!

いざ治療開始!最初の1ヶ月はどんな風に過ごすの?

最初の1ヶ月間は、予約も含めると、

  1. 予約
  2. 血液検査
  3. 服薬の説明
  4. 本格的な治療のスタート
の計4回病院へ行くこととなりました。

予約

病院の受付で舌下免疫療法を希望する旨を伝え、11月の末の診察予約を取りました。

その際、下の画像のような冊子を渡されたので、

舌下免疫療法の冊子

初回の診察までに、舌下免疫療法の仕組みや注意事項などにひととおり目を通しました。

1回目の診察:血液検査

主治医より治療や副作用についての説明を受けるとともに、血液検査を行いました。

検査の結果、スギ花粉のアレルギーがあると診断されなければ、治療は開始できません。

この日は採血後、すぐに帰宅しました。

2回目の診察(1週間後):服薬の説明

2回目の診察の際はあらかじめ主治医より「2時間ほどかかるので、時間に余裕をもってお越しください」と言われていました。

検査結果を教わる

検査結果

アレルギーのクラスは0から6の全部で7段階あり、クラス2以上が陽性となります。

前回の検査によると、私は「クラス3」のスギ花粉アレルギーとのことなので、治療の対象となりました。

初回の服薬後、院内で待機

一旦病院を出て、処方箋を持って調剤薬局へと向かい、「シダトレン」というスプレー状の薬を2種類受け取りました。

再び病院へと戻り、看護師より別室であらためて治療に関する最終説明を受け、承諾書にサインしました。

承諾書

その後、シダトレンを看護師の指導のもと、舌の下にスプレーし、2分間保持した後に飲み込みます。

ハナコ

ストップウォッチで測ってみると、2分間は意外と長い!
慣れないせいか、舌に力が入ってしまい疲れました。

服用後は、万が一の副作用に備えて30分間は院内に待機します。

幸いなことに、私は何の症状も出なかったため、この日はこれでおしまいです。

その後、2週間は自宅で服薬「増量期」

その後、自宅で1日1回スプレー状の薬を服用しました。

スプレーには、青いボトルと白いボトルの2種類があり、それぞれ含まれるスギ花粉の量が異なります。

1週目は青いスプレー、2週目は白いスプレーを、スケジュールの通りに1プッシュ、2プッシュと少しずつ増量していきました。

増量期の服用スケジュール

3回目の診察(2週間後):本格的な治療のスタート

増量期の2週間を無事に終え、再び医師の診察です。

診察では、副作用らしい症状の有無と、口の中、特に舌下の粘膜の様子を確認しました。

私はここまでに目立った症状がなかったため、以降は1ヶ月ごとの診察となりました。

この日は、「維持期」で使用するパウチに入ったシダトレンが30日分処方されました。

シダトレン

以降は舌下免疫療法の「維持期」として、少なくとも2~3年もの間、毎日欠かさず薬を飲み続けなければなりません。

飲み始めて約2ヶ月で花粉シーズン到来。早くも改善を実感

私が治療を開始したのは、2018年12月の初旬で、翌年2月の花粉シーズンまで2ヶ月しかありませんでした。

医師からは、飲み始めてたった2ヶ月では効果は出ないだろうと言われ、あらかじめ抗アレルギー薬を処方されていたほどです。

ところが、私が感じた変化は次のようなものでした。

  • 2月に入り、花粉が飛び始めたにもかかわらず、目や鼻が痒くならなかった
  • 2月後半から3月にかけては、日によって痒みを感じることはあっても、くしゃみを連発するなどの症状は出なかった
  • 短時間の外出なら、マスクをしなくても大丈夫になった

花粉飛散量は例年並み、またはそれ以上と言われていた中、辛い症状がほとんど出なかったことから考えると、私にとっては舌下免疫療法は効果があったと言えると思います。

結局この年は、花粉シーズンが終わるまで、一度も抗アレルギー薬を飲まずに済みました。

ハナコ

とはいえ、日常生活ではなるべく花粉を遠ざけるよう気をつけてはいました。

外出時は極力マスクをしたり、帰宅後は花粉を払ってから家に入るといったことです。

費用の目安

舌下免疫療法は、3年以上の継続が推奨されています。

私が実際に支払った金額をもとに、3年間続けた場合の費用を試算してみました。

  • 1年目:約35000円(初月6600円、以降約2500円×11ヶ月)
  • 2年目:約30000円(約2500円×12ヶ月)
  • 3年目:約30000円(約2500円×12ヶ月)

3年分を合計すると、約10万5000円になります。

1年目の料金は通院回数が多くなるので少しだけ高め

1年目の最初だけ通院回数が多くなるので、初診料や検査も必要になり少し料金もかかります。

私は最初の1ヶ月に3回通院して約6600円を支払いました。

診察費薬代合計
1回目2500円なし2500円
2回目600円1000円1600円
3回目600円1900円2500円
6600円

ハナコ

4回目からは月に1回(2500円)の通院で大丈夫でした。

シダトレンとシダキュアの違いは?

シダトレン

私は現在使用しているのはシダトレンという薬で、以下のような特徴があります。

  • 甘い味のシロップ
  • 舌の下に2分間保持した後、飲み込む
  • 冷蔵庫で保存

シダキュアという新しい薬が登場してます

一方、スギ花粉症の舌下免疫療法で使用できる薬には、シダキュアと呼ばれる錠剤もあります。

シダキュアの特徴は、下記のようなもので、

  • 無味無臭の錠剤
  • 舌の下に1分間保持した後、飲み込む
  • 常温保存が可能
  • 費用はシダトレンとほぼ同じ
シダトレンの上位版とも言える存在です。

私が治療を開始した頃、シダキュアはまだ認可が下りたばかりで、2週間ごとの処方しか許可されていませんでした。

通院回数を減らしたかったためシダトレンを選択しましたが、2019年5月以降、シダキュアも1ヶ月ごとの処方が可能になりました。

より便利なシダキュアの登場で、シダトレンは2021年に販売終了になる見込みです。

なのでこれから舌下免疫療法を始める方はシダキュアを選ぶことになると思います。

ハナコ

現在シダトレンを飲んでいる人も、順次シダキュアに切り替える必要があるとのこと。

初めてシダキュアを飲む際には、もう一度看護師の同席と30分の院内待機が必要とのことです。

副作用はあった?

舌下免疫療法は副作用の可能性がかなり低く、とても安全な治療法だと言われています。

とはいえ、花粉エキスを体内に入れるため、人によっては花粉症のようなアレルギー症状が出ることもありますし、ごく稀にショックやアナフィラキシーなどの重い副作用を引き起こす可能性もあります。

そういった場合に備え、医師からはあらかじめ抗アレルギー薬を処方してもらえます。

私の場合、目立った副作用はありませんでしたが、薬を舌下に含むせいか、飲み始めた頃に舌の下がすこし荒れたような、ガサガサした感覚がありました。

ハナコ

舌の下の荒れは、始めて数ヶ月経ってからは全く気にならなくなりました。

飲み忘れない工夫

舌下免疫療法では、薬を飲み忘れないことが大切です。

毎日1回の服用ですが、忙しい時はついつい飲み忘れてしまうこともあります。

私は、飲み忘れをなくすために毎日絶対に行うことに関連させれば良いと考えたため、

  • 朝食後
  • 寝る前
にスマホのアラームをセットし、忘れずに飲むようにしています。

ハナコ

1日に2度確認しているので、飲み忘れは滅多にありません。

でも、インフルエンザで寝込んだり、泊りがけの旅行などで生活リズムが大きく崩れたときに飲み忘れてしまったことがあります。

まとめ

私の場合は明らかな効果を感じた舌下免疫療法ですが、研究によると20%の人には全く効果がないそうです。

試してみるまで効果が分からないとはいえ、年間3万円ほどの費用で、スギ花粉症が改善するかもしれないので、スギ花粉に悩んでいる方は、試してみる価値があると思います。