準防火地域で結露しない窓の選択肢は何がある?YKK APのショールームで調査してきた!

窓の結露対策

ナマケン

この記事をザックリまとめると、、
・新築で家を建てる予定の土地が準防火地域だった
・新居では窓の結露は避けたい
・準防火ではどの窓が良い?二重窓(サッシ)にするとしたらどの組み合わせ?YKK APのショールームで聞いてきました!

新しく家を建てようとしている土地が準防火地域でした。

新居では窓の結露は絶対に避けたくて、複数の工務店と契約前の打ち合わせをしてますが、いくつかの工務店は窓の知識が無さすぎて自分で勉強する必要性を感じ始めました。

準防火地域における結露しない窓の選択肢を知りたいのだけど、

  • 準防火地域で付けられる一番良い性能の窓は?
  • 二重窓(二重サッシ)にする必要はある?あるしたらどの組み合わせが最強?
などなど、ネットで調べるのも限界が来たので、YKK APのショールームに行って担当者さんに聞いてきました!

準防火地域ではなく防火地域の場合は?
このページは「準防火地域」の話として書いていますが、窓の選択肢に限って言えば「防火地域」と読み替えても同じ内容になると思います。
素人意見としてご参考まで!

今住んでる家の窓がなぜこんなにも結露するのか?ずっと疑問でした

結露が酷い

ナマケン

YKK APのショールームで聞いてきた話に入る前に、なぜ僕が窓の結露にこだわっているのか聞いてください。

今住んでいる賃貸マンションには、タイミング良く新築で入居することができました。

それが5年前(2015年)です。

超大手住宅メーカーが建てたマンションだけあって、それまで住んでいた築十何年のマンションとは違い窓は結露なんてしないだろうと思っていました。

が、あっさり結露

100歩譲って冬場の北側の寝室は仕方ないとしても、東向きのリビングの窓も結露します。

ナマケン

超大手住宅メーカーが2015年に建てたマンションでも結露が酷いなんて何かがおかしい

その頃から漠然とした違和感を持つようになりました。

そして「もし今後、家を建てるなら絶対に窓の結露はしないようにしよう」、そのような決意だけは持ちました。

時は流れ、新築で家を建てようという話になり、窓に詳しくなった今ならわかります。

今のマンションで使われている窓サッシはアルミだったのです。
アルミと樹脂の複合窓ですらありません。

2015年の段階で、大手住宅メーカーが建てたマンションでもそのレベルです。

2020年になっても日本では窓の断熱性能(熱貫流率)の最低基準が法律で定められていないので、売る側の自主性に任されている状況です。

マンションにしろ一軒家にしろ、窓についてこちらがよほど知識を付けないと、窓に熱貫流率という基準があることすら知らないままに低い性能の窓を勝手に付けられてしまう可能性が高いです。

僕だって、上のような問題意識を持っていたにも関わらず、新築で家を建てるという話になっても最初は「工務店任せにしてれば大丈夫」という甘えがありました。

そして「工務店任せはヤバい」と気づいてから、ようやくと本気で情報収集を始めたのです。

結露しない窓にしたいなら熱貫流率という言葉を知ろう!

結露しない窓について勉強を初めて、まず最初に検討したのは二重窓(二重サッシ)です。

ちきりんさんという方がブログやTwitterで言っていたのをたまたま目にして、「二重窓だと結露しなさそうだな」と漠然と思ったところからでした。

二重窓(内窓の追加)の効果について

窓について勉強した書籍

次に同じく「ちきりんさん」がお勧めしていた「ホントは安いエコハウス(著:松尾和也)」という本を読みました。

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この本の内容が衝撃的で、窓に熱貫流率という断熱性能を示す基準があることを初めて知りました。

そして、いかに日本の窓が遅れているか客観的に認識することに。

外国の基準で言うと日本の窓の熱貫流率は瑕疵レベル、つまり欠陥住宅みたいなものなのです!

それから僕の窓に関する好奇心が一気に高まって、窓の種類ごとの熱貫流率を自分で調べるようになりました。

「ホントは安いエコハウス」の窓の部分についての抜粋がネットで読めるようになっていますので、書籍を買わない方でも↓はぜひ読んでみてください!(日本の窓の熱貫流率がいかに低い基準で放置されているのかよくわかります)

低い断熱性なぜ放置、世界に遅れる「窓」後進国ニッポン

この熱貫流率なら良さそう!と思った窓(ただし大半は準防火地域では使えない)

書籍と↑のネットのページには、2014年から販売されていて2020年の段階においても最高性能の窓が紹介されています。

僕なりに情報を付け足してまとめると、下の表のようになります。
※熱貫流率は数値が低いほど性能が良い

熱貫流率(U値)(W/m2・K)メーカー準防火地域では使える?
レガリス0.55LIXIL×
APW4300.78、0.91YKK AP×
エルスターX0.79、0.91LIXIL×
トリプルスマージュ0.86三協立山(三協アルミ社)×
APW3301.37YKK AP◎(アルミスペーサー版のみ)
防火戸サーモスX1.58LIXIL
アルジオ1.75三協立山(三協アルミ社)
アルミ樹脂複合NEO2.33YKK AP
防火戸FGシリーズ2.33LIXIL
防火サッシF型 アルミ樹脂複合タイプ2.33三協立山(三協アルミ社)

見て頂くとわかるのですが、準防火地域では各社が出している最高性能の窓は法律的に使用不可となっていて、熱貫流率的に少し性能が落ちるシリーズしか使えません。

上の表を元に準防火地域で使える熱貫流率の良い窓を絞り込むと、

  1. APW330(YKK AP):1.37
  2. 防火戸サーモスX(LIXIL):1.58
の実質2つに選択肢が絞り込まれます。

このあたり工務店任せにしていると、各社の熱貫流率2.33のシリーズを何も言わずに取り付けられたりする可能性が高いです。

ナマケン

この段階では準防火地域では「APW330(YKK AP)」がベストな選択肢だと言えます。
ですが熱貫流率1.37だと少し頼りないのも事実です。
そこでAPW330を外窓にして、さらに内窓を付けるという二重窓(二重サッシ)の可能性も探ってみることにしました!

二重窓(二重サッシ)にするという案は?

二重窓

準防火地域では熱貫流率0.台の各社が出している最高性能の窓は使えないということがわかりました。

そこで二重窓(二重サッシ)も検討してみたいと思います。

二重窓とは、普段付いている窓を外窓として、さらに内側にも窓(インナーサッシ)を設置することを言います※上の画像が二重窓です。

メーカーをYKK APに絞って考えると、例えば、

  • 外窓:APW330
  • 内窓:かんたんマドリモ プラマードU
という構成になります。

二重窓にした場合に熱貫流率がどれくらい上がるのか?について資料を探したらYKK APさんが公式に発表してました。

二重窓の熱貫流率一覧

これがスゴイ数字で、

外窓内窓外窓の熱貫流率二重窓時の熱貫流
APW330プラマードU1.370.96~1.05
アルミ樹脂複合NEOプラマードU2.330.96~1.05

なんと、APW330(熱貫流率1.37)でも、下のグレードとなるアルミ樹脂複合NEO(熱貫流率2.33)でも、内窓にプラマードUを付けて二重窓にした場合の熱貫流率は0.96~1.05という数値になるようなのです!

二重窓にすれば「エルスターX、トリプルスマージュ、APW430」には少し劣るけど、0.台の熱貫流率が出せるということになります。

ただし二重窓は大幅なコスト増になってしまいます。

果たしてそこまでやるべきなのか?APW330の一重だけでいけるのではないか?

とても迷ってきました。

ナマケン

ここまでネットで調べたら、あとは考えていても判断つきません!

どうしても解決できない疑問が出てきたのでYKK APのショールームに行ってきます!

YKK APのショールームで確認したいことは、

  1. 準防火地域で結露しない窓の選択肢は何がベスト?
  2. APW330の一重だけで十分かなぁ?
  3. 二重窓にまでする必要はある?
というような疑問です。

YKK APのショールーム(新宿)で相談して最適解を出してきた!

YKK APショールーム

新宿にあるYKK APのショールームが行きやすそうだったので、インターネット来館予約してから行ってきました。

担当者に付いてもらって、しっかり説明を受けたい方は必ず予約した方が良くて、さらに週末は予約で埋まりやすいので思い立ったらまず予約をお勧めします。

ちなみに、僕に付いてくれた担当の方は、とてもわかりやすい説明をしてくれる人で、その説明を元にこれから書いていく内容に僕自身はとても納得しています。

ここまでの前置きが長くなってしまったので、ここからは端的にまとめていきます!

準防火地域で使える一番性能の良い窓は?

やはり「APW330(熱貫流率1.37)」とのこと。
それ以上の性能の窓は準防火地域では使えません。

さらに、APW330の内部に入れるスペーサーの種類には、

  • 樹脂スペーサー
  • アルミスペーサー
の2つがあって、もちろん樹脂スペーサーを使いたいのですが、準防火地域では「アルミスペーサー」の方しか設置できないとのことでした。

準防火地域の制限は厳しすぎますね。

APW330の一重だけで結露対策は十分か?二重窓にする必要はある?

この疑問についても、とても合理的なアドバイスを頂きました。

「内窓は後からでも簡単に設置できるので新築で建てる時はAPW330一重にしておく。結露が酷くなる部屋の窓だけ、後から内窓プラマードUを付けたらどうか?」

という内容でした。

それでしたら、二重窓は必要最低限の場所だけで済むので、コスト的にも安く抑えられます。

これが今回聞いてきた準防火地域で結露しない窓の最適解となります!

続けて、もう少しコストを安くする組み合わせを考えてみます。

最初はアルミ樹脂複合NEOの一重窓だけにして、結露する窓だけ後から二重窓にするという選択肢は?

最初にAPW330より安いアルミ樹脂複合NEOの一重窓にしておいて、後から結露する窓にプラマードUを付けるとする方が、さらにコストは抑えられます。

上のテーブルで既に書いたように、二重窓にした場合の熱貫流率は、

  • アルミ樹脂複合NEO+プラマードU:熱貫流率0.96~1.05
  • APW330+プラマードU:熱貫流率0.96~1.05
と変わらなくなることがYKK APの公式資料から読み取れるからです。

このあたりは「アルミ樹脂複合NEO」をどれくらい信用できるかで判断が分かれてきますよね。

「アルミ樹脂複合NEO(熱貫流率2.33)とAPW330(熱貫流率1.37)」の性能の違いについても、参考になるのがYKK APのショールームです。

YKKショウルームでこの2つの性能実験をしているので、どのくらい性能の差があるのか見てきました。

アルミ樹脂複合NEOとAPW330

上の画像は冬設定(室外6度、室内24度)になっていて、

  • アルミ樹脂複合窓⇒アルミ樹脂複合NEO(フレーム温度17.1度)
  • 樹脂窓⇒APW330(フレーム温度20.2度)

のように、フレーム温度に3度の差があることがわかります。

フレーム温度が高い方が室内温度との差が少ないという意味で、結露しにくくて部屋の温度も下げない性能の高い窓ということになります。

画像上部のサーモグラフィーは、左から

  • アルミのみ
  • アルミ樹脂複合NEO
  • APW330
  • APW430
の順番となっています。

アルミは冷たくなっている青い部分が目立ちますよね。
アルミ樹脂複合NEOも、APW330と比べると青の部分が大きいです。

コストを取るか、最初からこの3度の性能の差を取るか?それは各自判断が異なってくるところだと思います。

Low-E複層ガラスは日射取得型と日射遮蔽型は選べる?

APW330のLow-E複層ガラスには、

  1. 日射取得型
  2. 日射遮蔽型
の2種類があります。

例えば、西側に窓を付ける場合、冬は日射取得したいですが、夏の西陽を考えて日射遮蔽型を選ぼうかな?など、陽当りのバランスを考えると取得型と遮蔽型を選べる方が便利です。

ですが、「準防火地域では、APW330のLow-E複層ガラスの性能は日射取得タイプしか選べない」とのことでした。

日射取得型しか使えないので、その制限ありきで各方角の窓の有無やサイズを決めることになると思います!

ナマケン

以上がYKK APのショールームで聞いてきた、準防火地域で使える窓の情報です。

整理すると、
僕の場合コストが折り合えば、まずはAPW330の一重にしておいて結露する窓だけ内窓プラマードUをリフォームで付けるという対策方法でいくと思います!

ドアの基礎知識も教えてもらいました!

ドアも見学

せっかくYKK APのショールームに行くなら窓だけでなく、ドアも見ておいた方が良いと思います。

うちの場合、工務店が出してきた見積り書を見たら、会議室のドアのようなペラペラのドアが提案されていました。

工務店任せにしてしまう人は、そのドアの酷さに気がつくのは完成した時になってしまいます。

YKK APのショールームに行くなら、ドアの知識もここで情報収集しておきましょう!

具体的には準防火地域でしたらYKK APの防火ドア ヴェナートD30が候補に挙がってくると思います。

ヴェナートD30にも複数のシリーズと断熱性能の違いがあって、

  • CシリーズとNシリーズのラインナップとコスト感
  • 断熱性能:D2とD4で熱貫流率が大きく異なります。値段も違います
あたりは基礎知識として頭に入れておきましょう!

そうすれば、工務店が出してくる見積書に対して何も気づかずにスルーしてしまうことがなくなり、無駄に安い(高い)ものに対してはツッコミを入れることができるようになります!

まとめと補足

ナマケン

【まとめ】窓やドアについてネットと書籍で基礎知識を入れた後に、どうしてもわからない疑問が残った人はYKK APのショールームに行くことを強くオススメします!

その際には必ず疑問を具体化しておきましょう!そうでなければあまり意味がないです。

なので、工務店との打ち合わせが始まった後、お金を支払う前くらいのタイミングで行くのが良いのではと思います。

補足

我が家の事情ですが、この段階ではまだ住宅メーカー(工務店)も決まってないので、APW330の一重にして、結露する窓だけ後から二重窓にするという案を採用するかどうかは決まっていません。

続きは「新築一戸建て勉強ブログ」のカテゴリーで更新していく予定です!

その後、紆余曲折あり、一条工務店で家を建てることになりました。

一条工務店はオリジナルで窓を作っており、その性能がYKK APで使える窓よりもだいぶ性能が良いものなので窓の問題で悩むことはなくなりました

詳細は下の記事でご確認ください!

一条工務店の展示場見学一条工務店の展示場見学に行って坪単価、全館床暖房、断熱材の種類、窓の仕様の説明を受けてきた。予約時の注意点も